2008.03.25 Tuesday
開運なんでも鑑定団 柴田是真の箪笥
開運なんでも鑑定団の柴田是真についてです。今回の放映の箪笥については、3月21日(金)に制作会社より「青海波貝尽蒔絵硯箱」等の資料転載の依頼がありました。昨今のこの番組の漆芸品についての見解が非常に事実とかけ離れているため、偽物であった場合のことを考慮して、念のため写真を見せてもらいました。
その結果、今回の作品は、柴田是真の作品ではなく、その高弟、池田泰真の作品であることが判明しました。この作品は昭和4年(1929)に東京美術倶楽部で行われた、かの「浅見家所蔵品入札」の売立目録に「二九〇 泰真 青銅地海辺蒔絵箪笥」として比較的鮮明なモノクロ写真があり、池田泰真の在銘であったことが明らかです(速報のガリ版刷りの高値表にも泰真とあります)。




また現在は正面の引き出し以外の本体の小口に、他より青い青銅塗が施されいるのがテレビ映像でもはっきりわかりましたが、これらが左下の角の亀裂を隠すための後補であることが判ります。本来、青海波塗では、引き出しや蓋や角など別々に施した箇所でも、あたかも連続しているかのように表現するのが、作者の腕の見せ所です。この部分の青海波や貝が全て塗りつぶされるという重大な後補があるにもかかわらず「ほとんど傷みがなく」と言っていたのも問題です(正確には制作会社は青色になっているこの小口と底面に疑問を持ったようです)。この後補の際に、泰真の銘が消されて是真の銘が入れられたとも考えられます。そもそも1,300万円という高額の査定をしながら、書き込んで下さった皆さんが首をひねられるように、その根拠の決め手となる肝心の是真の作銘を放映しないこと自体が非常に不可思議です(これまでは工芸品でも絵画でも拡大映像が放映されています)。
4日前とはいえ、真実を通知された以上、「誤鑑」のテロップを入れるべきだと主張しました(これまで数週遅れで、番組の最後にテロップを入れたことが、私の知っている限り2回あります)。制作会社はすぐに誤鑑を認め、当ブログでの事実の公表も了承しましたが、テロップはどうしてもは入れられないとのこと。昨日の夕方には番組担当者からも電話がありましたが、「番組独自の見解に基づくもの」の一点張りで、「誤鑑」すら認めず、訂正放送の約束もできない、反響に応じて検討する、とのことで握り潰されて、物別れとなりました。今回の鑑定に関しては、79年前の写真資料という明白な証拠がある以上、「見解の相違」という逃げ口上は全く通用しないでしょう。
柴田家・池田家ともご昵懇でもあり、是真に対しても泰真に対してもその名誉を汚すもので、到底番組に協力できるものではありません。そこでこちらとしては、蒔絵博物館と柴田是真生誕二百年展図録からの転載を断固拒否し、番組側は真実を知りながらそのまま放送するに至ったというわけです。
そもそも池田泰真は是真の高弟で、青海波塗の開発は泰真の助けがあって完成したもので、門人の中でも泰真以外にはできません。しかし泰真は是真存命中は、師匠に遠慮して決して銘を入れて青海波を施しませんでした。もし後補のないままであれば、実直な泰真の性格が表われた泰真の一級資料として、高い評価をすることができたものを、真に残念です。また心無い贋作者とそれを依頼した者の所業に憤りを感じます。
その結果、今回の作品は、柴田是真の作品ではなく、その高弟、池田泰真の作品であることが判明しました。この作品は昭和4年(1929)に東京美術倶楽部で行われた、かの「浅見家所蔵品入札」の売立目録に「二九〇 泰真 青銅地海辺蒔絵箪笥」として比較的鮮明なモノクロ写真があり、池田泰真の在銘であったことが明らかです(速報のガリ版刷りの高値表にも泰真とあります)。




また現在は正面の引き出し以外の本体の小口に、他より青い青銅塗が施されいるのがテレビ映像でもはっきりわかりましたが、これらが左下の角の亀裂を隠すための後補であることが判ります。本来、青海波塗では、引き出しや蓋や角など別々に施した箇所でも、あたかも連続しているかのように表現するのが、作者の腕の見せ所です。この部分の青海波や貝が全て塗りつぶされるという重大な後補があるにもかかわらず「ほとんど傷みがなく」と言っていたのも問題です(正確には制作会社は青色になっているこの小口と底面に疑問を持ったようです)。この後補の際に、泰真の銘が消されて是真の銘が入れられたとも考えられます。そもそも1,300万円という高額の査定をしながら、書き込んで下さった皆さんが首をひねられるように、その根拠の決め手となる肝心の是真の作銘を放映しないこと自体が非常に不可思議です(これまでは工芸品でも絵画でも拡大映像が放映されています)。
4日前とはいえ、真実を通知された以上、「誤鑑」のテロップを入れるべきだと主張しました(これまで数週遅れで、番組の最後にテロップを入れたことが、私の知っている限り2回あります)。制作会社はすぐに誤鑑を認め、当ブログでの事実の公表も了承しましたが、テロップはどうしてもは入れられないとのこと。昨日の夕方には番組担当者からも電話がありましたが、「番組独自の見解に基づくもの」の一点張りで、「誤鑑」すら認めず、訂正放送の約束もできない、反響に応じて検討する、とのことで握り潰されて、物別れとなりました。今回の鑑定に関しては、79年前の写真資料という明白な証拠がある以上、「見解の相違」という逃げ口上は全く通用しないでしょう。
柴田家・池田家ともご昵懇でもあり、是真に対しても泰真に対してもその名誉を汚すもので、到底番組に協力できるものではありません。そこでこちらとしては、蒔絵博物館と柴田是真生誕二百年展図録からの転載を断固拒否し、番組側は真実を知りながらそのまま放送するに至ったというわけです。
そもそも池田泰真は是真の高弟で、青海波塗の開発は泰真の助けがあって完成したもので、門人の中でも泰真以外にはできません。しかし泰真は是真存命中は、師匠に遠慮して決して銘を入れて青海波を施しませんでした。もし後補のないままであれば、実直な泰真の性格が表われた泰真の一級資料として、高い評価をすることができたものを、真に残念です。また心無い贋作者とそれを依頼した者の所業に憤りを感じます。