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蒔絵・研究日誌

「蒔絵博物館 高尾曜のホームページ」の併設ブログ。
日々の研究の活動報告、展覧会観覧記録や歴史の話など、つれづれなるままに書いています。
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大正8年5月26日「旧華族家御蔵品展観入札」
 売立目録に掲載されている漆工品の研究を20年くらい続けています。つまり、漆の研究を始めた、ごく最初から始めていたというわけです。しかし特に必要性を感じて、1998年〜2000年の間に集中して悉皆調査を行い、東京国立博物館、東京文化財研究所、東京芸術大学附属図書館に所蔵される2,272種の売立目録に掲載されている、作者の注記がある漆工品のコピーを全て取って、その成果を、これまでの研究に役立ててきました。
 その中で、 大正8年5月26日「旧華族家御蔵品展観入札」(東京美術倶楽部)は、ずっと継続的に気になっている売立目録です。初めて見たのは、もう20年前です。旧大名家、公家が売立を始めた大正初年は、不名誉だったので家名を伏せた売立がかなりありました。この売立も家名が伏せられていますが、丸に三柏紋(まるにみつかしわもん)と登梯紋(のぼりばしごもん)の陣幕を描いた表紙を一見して分かるとおり、譜代大名の牧野家の売立です。問題は、どこの牧野家だったのかということで、この20年、何度も解き明かそうとしてきました。

 
表紙                  裏表紙



 牧野家は譜代大名ですが、長岡7万4千石と、小諸1万5千石笠間8万石丹後田辺(舞鶴)3万5千石の4家があります。

 長岡牧野家は、牧野康成(やすなり)を祖として、老中も出し、戊辰戦争で河合継之助が抗戦したことで有名です。丸に三葉柏紋、九曜紋、登梯紋、菊紋、五七桐紋を使いました。



 小諸牧野家は牧野康成の孫の同名の康成が次男として別家した家で、丸に三柏紋と九曜紋を使いました。



 笠間牧野家は長岡藩祖康成の三男儀成に始まる傍系の旗本で、さらに別家した成貞もわずか2千石の旗本でしたが、五代将軍綱吉が将軍になる以前の神田館の頃から仕えて、ついには側用人として大名となり、笠間の藩祖となりました。丸に三葉柏紋、九曜紋、登梯紋、菊紋、五七桐紋を使いました。

 
 一方丹後田辺の牧野家は、これらとは別系統で、先祖はよくわかりません。しかし徳川家の有名な金扇の馬印は、元々この家の馬印だったのを、永禄6年徳川家康が頼んで貰い受けたもので、れっきとした徳川譜代です。ややこしいことに、長岡藩祖と同じ字の
牧野康成(やすしげ)を藩祖としています。つまり徳川家康の家臣には牧野康成が2人いて、読みが「やすなり」と「やすしげ」だったのです。家紋は丸に三柏紋ですが、葉が尖った鬼柏で、不思議なことに長岡や笠間と同じように九曜紋と菊紋も使いました。

 

 こうして見てくると、この売立は、長岡と笠間の可能性が高いのですが、刀剣類の拵の紋や、絵画など、どこかにヒントがあるだろうと、何度もいろいろ考えましたが、決定的な証拠を見つけられずにいました。
 ところが、今朝、眠れずに調べていて、4時くらいに、ついにその証拠を見つけました。それは笠間牧野家の明治期の当主、子爵牧野貞寧が所蔵していた井戸茶碗銘柏木高麗茶碗銘鉢之手が、この売立目録に出ていることに気付いたからです。

 これにより、この売立は旧笠間藩主牧野家の売立であることが確定できました。そう思ってみれば、拵付の正次の刀は、天明元年に将軍家から賜った刀のようにも思えます。しかし、これは少し意外でした。というのも笠間牧野家は昭和4年に、家名を出して東京美術倶楽部で売立を行っているからです。

 これほどずっと、この売立にこだわるのには、理由があります。この売立には、いくつかの重要な印籠が出品されています。




まず、205 羊遊斎作蝋色地夕顔蒔絵印籠 やぶこうじ根付添 です。松平不昧夕顔の和歌「このうちも なほうらやまし山雀の 身のほどかくす 夕顔の宿」酒井抱一夕顔の絵を羊遊斎が蒔絵した現存するこの印籠を注文したのが、笠間牧野家だったということになります。


208 柴田是真作 糸巻蒔絵の残菜入は、朝顔蒔絵根付と共に現在スイスバウアーコレクションにあるものでしょう。

そして、207 丸龍黒漆蒔絵玉山作獅子根付です。これがなぜ重要なのかは、今度、また続編を書きたいと思います。









 
| 売立目録・オークションカタログ | 12:44 | comments(0) | trackbacks(0) |









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